資産運用を語ろう
有価証券の取引に適用される規定、たとえば不公正取引を一般的に禁止する157条などは、すべて、ファンド持分の取引にも適用されます。
次に、ファンドのうち主として有価証券に対する投資を行うもの(投資型ファンド)については、ディスクロージャー制度が適用されます)。
ただし、ファンド持分は流動性の低い有価証券と位置づけられており、ディスクロージャーの要件について、流動性の高い有価証券と異なる基準が設けられています。
ファンドのうち、主として有価証券以外に投資を行うもの(事業型ファンド)には、ディスクロージャー制度は適用されません。
したがって、事業型ファンドを募集するときは、多くの投資家に取得させる場合であっても、勧誘の相手方に目論見書を交付する必要がないことになっています。
有価証券の発行者が自ら有価証券の募集を行う場合(自己募集)には、証券業に当たらず証券会社の登録を受ける必要がないものとされてきました。
しかし、ファンドを業者と捉えて規制を及ぼすことが投資家保護にとって有効であると考えられたことから、金融商品取引法は、ファンドの自己募集を第2種金融商品取引業と位置づけました(2842項、2条8項7号へ)。
したがって、ファンド持分などのみなし有価証券の発行(募集または私募)を業として行う場合には、金融商品取引業の登録を受けなければなりません(29条)。
また、ファンド持分の募集または私募等を行うときは、契約締結前に投資家に交付する書面を内閣総理大臣に届け出なければならないという規制も設けられました(37条の3第3項)。
これは、流動性の低い有価証券については、事業型ファンドの持分のように、継続的なディスクロージャーが行われない場合があるため、販売時の説明かきちんと行われているかどうか行政がチェックするためです。
もっとも、販売時の説明義務を強化するだけで継続開示の代わりになるとは思われません。
すでに発行されたファンド持分の売買や売買の媒介も、第2種業となりますので登録が必要です(28条2項)。
こうしてファンド持分の販売・勧誘は、原則として金融商品取引業者でなければできないという業規制が適用され、業者の行為規制を通じて投資家を保護する仕組みが整えられました。
ただし、いずれも登録要件や兼業について第1種金融商品取引業よりも規制が緩やかな第2種金融商品取引業恚位置づけられていること、およびプロ向けファンドに特例が設けられたことに注意を要します。
ファンドの資金を有価証券やデリバティブ取引への投資によって運用する場合には、金融商品取引業者としての登録が必要になります(2条8項15号、29条)。
そして、この場合は投資運用業に該当するため(28条4項)、登録および兼業について第1種金融商品取引業と同じ要件が適用されるほか、運用行為について、金融商品取引業としての行為規制に加えて投資運用業の特則が適用されることになります(3節)。
㈹と副に述べたファンドの規制は、プロ投資家向けのファンドには適用されません。
プロ向け商品の開発を阻害しないようにするためであり、プロ投資家とアマ投資家を区分して規制の柔構造化を図るという、金融商品取引法の特徴がここにも表れています。
具体的には、適格機関投資家等を相手方として行うファンド持分に係る私募、および②適格機関投資家等のみが出資したファンドに係る運用業務は、金融商品取引業の定義から除外され、登録を受ける必要がないものとされました(63条1項)。
適格機関投資家等とは、プロ私募を判定する際と同じ定義の適格機関投資家と一定数以下の政令で定める者をいいます。
金融商品取引業の登録を受ける必要がない代わり、これらの業務は適格機関投資家等特例業務として、事前に内閣総理大臣に届出をしなければなりません(63条2項)。
これは、いざというときに行政上の監督を行えるようにするためです。
具体的には、内閣総理大臣は、特例業務届出者の業務状況を確認するためとくに必要があるときに、届出者、届出者の取引相手、届出者から業務の委託を受けた者に対し、報告または資料の提出を命じることができ、の者の営業所に立入検査をすることができる旨の規定が設けられています。
また、金融商品取引業者の禁止行為のうち虚偽事実の告知の禁止および損失補填の禁止は、特例業務にも適用され、違反に対しては罰則を適用することができます(63条4項)。
これらによって、プロ向けファンドの業務についても最小限の網をかけようとしているのです。
証券取引法では、銀行、保険会社、信用協同組合、信用金庫などの金融機関が証券業務を営むことを禁止してきました。
これは、証券業務から生じるリスクが高いので、預金の受入れを主な業務とする金融機関が証券業務を営むと財務の健全性を害し、預金者の保護に反すること、企業に貸出しを行うなど間接金融の担い手である金融機関が、有価証券の発行による直接金融をも担当すると、金融機関による産業支配が強まり経済の健全な発展が妨げられることを、主な理由とするものです。
平成4年の金融制度改革により、銀行業と証券業の間で子会社による相互参入が認められました。
その後、金融機関の子会社による証券業務の範囲は徐に拡大され、現在では金融機関の証券子会社はすべての証券業務を営むことができます。
また、金融持株会社の傘下に金融機関と証券会社とを置いて、それぞれの業務を営むこともできます。
もっとも、金融機関本体による証券業務は、現在でも原則として禁止されています。
金融機関か本体で証券業を営んでも、それぞれの分野において競争が成り立つのであれば金融機関による産業支配を強めることはありませんが本体でリスクの高い業務を行うと預金者を害するおそれが高いからです。
金融商品取引法においても、金融機関による証券業務は原則として禁止されますが、同法の適用範囲が拡大されたことに伴い、禁止される業務は有価証券関連業務と投資運用業務に限定されています(33条1項)。
これら以外の金融商品取引業務を行うことは、金融商品取引法上は禁止されませんが、銀行等がそれぞれの業務を許されるか否かは銀行法等の規定によることに注意が必要です。
禁止される業務のうち有価証券関連業務とは、有価証券の売買、売買の媒介・取次ぎ・代理、金融商品市場における有価証券の売買の委託の媒介・取次ぎ・代理、デリバティブ取引のうち有価証券または有価証券指標に係るもの(有価証券関連デリバティブ取引)、有価証券の売買または有価証券関連デリバティブ取引に係る清算取次ぎ、有価証券の引受け・売出し、有価証券の募集・売出しの取扱い(募集・売出しに際して行われる勧誘行為)、有価証券の私募の取扱い(私募の仲介)をいいます(28条8項)。
ただし、33条2項により本体業務として認められ、一定のものが本体業務として認められています。
禁止の趣旨に反しない行為ないし業務は、金融機関が本体で営むことができます。
これには、登録なしにできる行為と登録を要する行為とがあります。
登録なしにできるのは、投資目的で行うか、信託契約に基づいて他人の計算で行う、有価証券の売買または有価証券関連デリバティブ取引です(33条1項)。
登録を要する行為には、書面取次ぎ行為、公共債に係る一定の有価証券関連業務、資産流動化に係る一定の有価証券関連業務、一定の有価証券の私募の取扱い、投資信託の受益証券等の販売・勧誘業務、有価証券関連デリバティブ取引以外のデリバティブ取引が含まれます(33条の2)。
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